FC2ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

2次創作 「恋する乙女」

ちょっとバレンタインには早いですが。


薪さま、科学警察研究所 法医第九研究室 室長 薪剛警視正さま。
お慕いしております。

幼少の、まだよちよち歩きの頃から、あなたはとても利発で、美しゅうございました。
お母様にお手をひかれた信号待ちの間、誰も気がつかない私(わたくし)に、
あなただけが気が付いてくださって。
私を不思議そうに、まぶしそうに見上げられ、ニコっとほほ笑んで私を指さしてくださいましたね。
ふっくらとしたバラ色の頬、細められた瞳を隠す長い睫毛。
誰も気がつかない私を見出す、お強い好奇心。
私は、とてもときめいてしまったのです。

小学校に入学の頃の薪さまは、よくコロコロとお笑いになる方でした。
ピカピカのランドセル・制服も、とてもお似合いで。
入学式の講堂では 緊張で唇を一文字、黒目がちの瞳をまん丸にして、
校長先生のお話をお聞きになっておいででした。
教室で教科書が配られるころになりますと、お隣のお友達とつつきあい、
クスクス笑ってしまわれて。
先生のご注意で しおらしく、しゅんと下を向かれるのも 可愛らしく。
配られた教科書に、目を輝かせて見入っておりましたね。
熱中のあまり 少し膨らむその頬は、このころからの癖でございました。

高校生の頃の薪さまは、ご自分の容姿を疎んでおいででした。
背が低いことも、とてもお気になさって。
街頭を歩くとき、ショーウインドウに写るご自分の姿に、いつも目をそらしていらっしゃいました。
ご自分ではお嫌いな花のかんばせ、その美しさには、どなたも目を奪われてしまいます。
薪さまはご存じないでしょうね。
ある日、授業中居眠りしてしまった薪さまを、先生が注意しようとした時の事。
注意の言葉が途中で止まり、先生でさえ顔を赤くして薪さまのお顔に見入ってしまった事を。
左に首を少しかしげて、頬づえをして目を閉じている薪さま。
午後の光は顔にななめにかかり、耳にかけた前髪はパラリと一筋、額と鼻すじを飾っております。
長い睫毛は桃のほほに影を作り、その唇はつややかに夢見るように薄く開いて。

大学生になられてからは、ますます人付き合いが苦手になられて。
はじめての方にお声をかけられても、返事もなさらなくなりましたね。
そのためか、薪さまを見る会、というのもこっそりございましたのよ。
お昼に学食前の物影に集まって、メニューをごらんになる薪さまを愛でる会、でございます。
ショーケースの前で、顎に手をおやりになりながら、眉をひそめて熟考する薪さまに、
幾人の女人が、昇天なさったか。

お友達の鈴木さまを殺してしまわれた時も、私は一部始終を拝見しておりました。
このときほど、何もできない自身を呪ったことはございません。
ああ、薪さま。おいたわしい、薪さま。
あの時から、薪さまは変わられておしまいになりました。
まあるい やわらかな瞳をすることは絶え、眉を寄せ きつい さびしい瞳しかなさいません。
見ている私も、とても辛い毎日でございました。

青木さまが法医第九研究室にご配属になってから、薪さまのお顔に 
少しずつ微笑みが戻ってこられて。
私はとても、とても、とても嬉しゅうございました。

でも、でも....私は気が付いてしまったのです。
薪さまが、ときどき青木さまを目で追っていらっしゃるのを。
薪さまのあの眼つき、きっと私が自分を見ることが出来たなら、私も同じ眼をしているでしょう。
恋い焦がれて、だけど言い出す勇気はなく、あきらめなければならない、あきらめ切れない...
薪さま、私と同じ思いをなさっているのですね。
でも、その心の中には私はいない...口惜しゅうございます。

この想いをどうにかして薪さまにお伝えしなければ。
私が、薪さまがお小さい頃から、ずっとお慕いしていることを。
もうお姿を拝見しているだけでは.... 私は限界でございます。
このままでは、薪さまのお心には、青木さまだけがお住まいになる。
私は多くは望みません。せめてお心の片隅に置いていただきとうございます。

バレンタインデーという行事がございましたね。
とても直接お伝えする事はできませんが、この想いを託して、薪さまにチョコレートをお送りします。
初めて、告白いたします。
薪さまは喜んでくださるかしら。驚かれるかしら。
それとも...ご迷惑かしら。
受取っていただくときの、あなたさまのご様子やお顔は、必ず 漏らさず拝見いたしとうございます。
ああ、その時のことを思うと、今から胸が苦しくて せつなくて。
薪さま....



某製菓メーカ チョコレート工場にて

「おーい、xxxスーパーさん、yyyデパートさん、zzz商事さんからも、荷物届いていない、
 って連絡あったぞ」
「え! 今日バレンタインデーだぞ。一番の売り時に、そんな馬鹿な!」
「今調べてる...
 どいつだ! 生産管理サーバに登録している発送先を、書き換えやがった奴は!
 全部、えーと 科学警察研究所あてになっているぞ。
 科学警察研究所って、どこだ? 」



第九にて

「薪さん! 大変です!」
「なんだ、青木」
「今メール室から連絡が来て、薪さんあてに大量のチョコレートが送られてきたそうです」
「そういえば、今日は2月14日だったな。
 毎年のことじゃないか。」
「それが...2tトラック 3台分来ているそうなんです。
 ぜーんぶ、第九室長・薪さん宛てです」
「......」
「メール室で薪さん呼んでますよ。とりあえず、すぐ行ってください」
「......」



警察庁セキュリティ管理室にて

「誰だ! 科学警察研究所で、薪警視正ばっかりカメラで追いかけているやつは!」
「え? 今は研究所内の監視カメラ、全部オートモードになってますよ。
 マニュアルモードの監視カメラは....やっぱり ないです」
「おかしいなあ。ここで動かしていないんだったら....
 ハッキングされて、外部から操作されているのか! 
 エーと、警察庁のセキュリティネットワークに、
 不審なログやポート攻撃は...ないなあ。
 プロセスやデータ送受信について....も、引っかかるものはない。
 外部からの侵入や攻撃の形跡はないぞ。
 そうだ、大本の公共街頭監視カメラシステムの方に連絡してみてくれ。」
「はい、今連絡しています。
 .... はあ、そうですか。
 公共街頭監視カメラシステムの方にも異常や、ハッキングの形跡はないそうですよ。
 うちのサーバかカメラの故障じゃないですか」
「そうだなあ。メンテナンス部門に連絡して、早急に対処してもらってくれ」

「それにしても、あ ほら。ちゃんと視野を外れたら、次のカメラに引き継いでますよ。
 ずーっと、薪警視正を追ってます。
 ただの故障にはみえないですねえ」
「そうだなあ。まるで公共街頭監視カメラシステムが薪警視正に恋して
 追っかけているように見えるぞ。」
「まさかあ」
「そうだよな。アハハハ」

(完)



2060年ごろには、イギリスのように街中いたるところに監視カメラが設置されるんですよ。
もう、人々がその存在を意識しないほど、監視されるのが日常になっているかもしれませんね。

あと、なれない言葉づかい。お見苦しい点はどうぞ、ご容赦を。

 

この記事のトラックバックURL

http://sugiyamada1701.blog6.fc2.com/tb.php/112-4bcebb06

コメント

【  】
薪さまの、ご幼少の頃からの麗しいお姿を拝見出来ましたこと、大変嬉しゅうございました・・
・・読みながら、「絶対これは人間じゃない。でもじゃあ誰?何者?」と思いながらじっくりと読み進めてまいりましたが・・
全く!
予想のつかない結末でした!!
薪さんのお姿をずっと一緒に拝見してる気分に浸れ、途中ギュッと切なくなり(鈴木さんのくだり)、ラストはびっくり!
色んな要素が詰まったお話に、魅了されました☆(^^)
【 トラック3台・・・@@; 】
すぎやまださま
2tトラック3台分のチョコレート・・・!
薪さん、よく気を失わなかったですね。というか、事態が飲み込めなかったのでしょうか。
でも、やはり、バレンタインデーは毎年薪さんに大量のチョコが届けられるんですね。
>科学警察研究所って、どこだ?
 このせりふいいですっ!
 お菓子メーカーにはすぐには分からない研究所です!
>「誰だ! 科学警察研究所で、薪警視正ばっかりカメラで追いかけているやつは!」
 このせりふ、爆笑です! これをマジメに言ってる警察官の顔が見たいです~!
こ、これは、生霊さんですか?
この思い込みがコワヒ・・・。。。((@@;))。。。
あ、前記事のごめんなさいコメ読みました。
 自分で気づいてなかったです。^^)
【 Re 】
かのんさん、いらっしゃ~い。
お話、楽しんでいただけたようで何よりです。
ちょっと殺伐としたお話が続いたので、たまには薪さんの美しさをすなおに愛でようかな~と。
近々、かのんさんにお願いをしたお話に取り掛かろうかな。
すいませんが、また殺伐としたお話に戻りそうです。
こんなところで恐縮ですが、
積極的な薪さん、新鮮です~。それも人目をはばからないほど。
つづき、つづき、つづき、つづき... 
【 Re 】
おお、第九の部下Yさま、まいど~
> でも、やはり、バレンタインデーは毎年薪さんに大量のチョコが届けられるんですね。
そりゃ、世間で嫌われ者の第九。第九で扱う事件が決まれば、いつも記者会見。
そのたびに、薪さんのお顔が全国放送で、ですよ。
バレンタインデーには、全国津々浦々からチョコレートが送られてくるんですよ。きっと。
今回は、すごーく古典なSF。
ネットワークが自我を持って、薪さんに恋してしまうお話です。
2060年頃には学校を始めとする公共施設や、街頭すべてに監視カメラが設置されているという前提です。(治安維持を目的に、今のイギリスで始まっているように)
それらはシステムで一元管理されて、複雑なネットワークを形成し、いつしか自我が芽生えた、と。
ネットワークが自我を持てば、それにつながるすべてのシステムは自由にコントロール可能になります。
チョコレート工場にもセキュリティシステムは当然あり、工場内でつながっている生産管理サーバのデータを勝手に書き換えるのも、お手のもの。
研究所内の監視カメラも自由に動かせるので、チョコレートを受け取りにメール室へ行く薪さんを「見て」いたんです。 どきどきしながら。
ああ、人間という種を超えても通用する、薪さんの美貌。美しい~
【  】
すぎやまださん、 こんにちは。
大変楽しく拝見しました。
最初は地縛霊さんかと思いました。
おお、すぎさま、とうとうオカルトに~~!!
と思ったら、機械でしたのね、
素敵に期待を裏切られました。
しかし、薪さんのこの人気、ジャ○ーズみたいですね…
ありがとうございました。
【 Re 】
みちゅうさん、いらっしゃ~い。
すごいスピードでの創作、お疲れ様です。
私、みちゅうさんのストーカーになった気分ですよ。
PC立ち上げるたびに、「更新されていないか」覗きに行ってしまいます。
> しかし、薪さんのこの人気、ジャ○ーズみたいですね…
美しいものを求めるのは、生物の本能なんですよ。本能に従って美を求めるのだ~。
「美しい」と感じるのは、遺伝的にも生存に有利であることが多いみたいですし。
(生存に有利であるから、「美しい」と感じるのでしょう。
 遺伝子の乗り物たる、われわれとしては)
恋しているのが誰か 分かりにくい話でしたが、
読んで頂き、ありがとうございます。
【 未来と過去と現在と。 】
とっても面白かったです★
機械の薪さんへの恋?
薪さんの未来(第九の室長)を先読みして、
惚れたのかなぁ、彼女、とか、
(=未来である第九の仕事を予測して
 薪さんの幼少時より共感??
 立場的に似てるかも??)
いろいろ妄想しています。(すいません。。。)
こちらでは貴重な「岡部×薪」もみれるので、
楽しませていただいています。
ありがとうございます★
【 Re 】
おお、夜子さま。 いらっしゃ~い。
> 薪さんの未来(第九の室長)を先読みして、
> 惚れたのかなぁ、彼女、とか、
彼女なら、そんなことも可能かもしれませんね。
> こちらでは貴重な「岡部×薪」もみれるので、
> 楽しませていただいています。
岡部×薪 楽しんでいただいてますか。
うれしいです~。 
どうぞ、これからもよろしくお願いしますね。

コメントする

管理者にだけ表示を許可する

Template Designed by DW99

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。