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2次創作 「入眠儀式」

すごーく、暗いです。私の妄想薪さんは、原作とまったく別人で、救い様のない暗い人です。
原作あおまき握り締めた手、にウキウキしている貴方、読まない方がいいですよ。
どよーん、でせっかくのウキウキが台無しになります。


ああ、また岡部がうるさい。少しぐらい寝なくても死なないぞ。
はいはい、導眠剤飲んで仮眠室で横なればいいんだろ。



仮眠室で横になり目を閉じると、かるいめまいに似た感覚が襲う。
まぶたの裏がぐるぐる回っているような。
今目を開けると、結局寝付くことができずに、もっと岡部の小言を聞く羽目になる。
我慢して目を閉じていると、いつもの取り留めない事が浮かび、いつも間にか眠りに落ちることができる。
そう、まるで入眠時の儀式のような、いつもの散満な事柄が浮かんで...くる。

死ぬのは怖くない、と思いながら今でものうのうと生きている。
死ぬべき理由も、今はみつからないからな。
ただ恐れるのは、自分の脳だけが残ることだけだ。
眠りに入って、目覚ないかもしれない事が怖い。
自ら脳を破壊する暇もなく息絶えて、自分の脳が取り出されMRIにかけられることが。

他人の秘密は容赦なく暴くのに、自分の秘密はこんなにも隠したい。
笑ってしまうほど、自己中心な希望。
だけど、何を隠したいのだろう?

政治や総監がらみの秘密なんて、僕には関係ない。
僕の意思なく暴かれるなら、かえってせいせいするはずだ。
僕が隠したいのは、何なのだろう。
鈴木や貝沼の事をこんなにうじうじ引きずっている、自己憐憫で独りよがりな心なのか。
いまでも時々鈴木に語りかけてしまう、女々しい未練なのか。
自分でも良く分からない、一回りも年下の青木への依存なのか。
それとも、あの僕の性癖なんだろうか。
誰でも絶対に知られたくない事はあり、第九はそのことに慣れている。
いまさら僕の秘密を知ったところで、誰も何も思わないはずなのに。
解決すべき事件との関連がない僕の視覚情報は、事務的に記録し、
ナンバリングし、インデックスを振って、データベース化されるだけだ。
無味乾燥なデジタルの記号の羅列として。

だけど、脳を残すことなく自らを破壊する方法を想像すると、なぜこんなに安らぐのだろう。

たとえば....SIG P230JPの銃口を額にあてる。
冷たい銃口に、これから起こることが予感できて僕は安心できる。
いや、記憶中枢ともいえる海馬を破壊するためには、頭頂部から真下を狙った方がいい。
これならば脳幹も同時に破壊できて、一瞬で片がつく。
ダブルアクションのトリガーをゆっくり引く。まずハンマーを起こす抵抗を感じる。
そのままトリガーを引き続ける。もうあまり抵抗もなく、最期にハンマーが落ちる。
ハンマーで叩かれ発火した銃弾は、回転しながら銃身から飛び出す。
銃弾は皮膚を引き裂いて、頭蓋骨に穴を開け、回転しながら脳の組織をすり潰しつつ進む。
僕はそれを、銃弾が脳を破壊していく瞬間を、感じることができるだろうか。

たとえば....高所から飛び降りる。
下から吹き上げる強い風が、落下のスピードを緩めてしまう事が怖い。
けど、大丈夫だ。重力は高ささえ十分あれば、確実に仕事をしてくれる。
僕に必要な事は、そのまま軽くつま先を蹴るだけ。
あとは頭から落ちることができるよう、手足をばたつかせずに抵抗を小さくすることだけを、
考えていれば良い。
15階、高さ50mで頭から落ちれば、頭部全体が半径3mは飛び散って跡形もなくなるだろう。
もはや脳の破片をかき集めても、ジグソーパズルにもなりはしない。

僕の死は、世間にはあくまで事故で発表されるだろう。
第九にまとわりつく死の匂い、死人が出なれければ何もできない組織のイメージを強調する
出来事だから。
第九の偏見を打ち消すためなら、世間にはどんな発表でもかまわない。

世間はどうでもいいのだが、僕が死んだら鈴木が悲しむ。
僕を生かすために、第九の希望を託して死んだ鈴木。あちらで会ったら、必ず嘆くだろう。
フッ、霊魂を信じない僕なのに、なぜ鈴木に会って詫びる事を考えてしまうんだ?

他にだれか、悲しむだろうか。
僕のためになんかで、誰一人泣いて欲しくないのに。
いつでも死ねるよう、僕が死んでも悲しむ人がいないように振舞っているつもりだが、
そううまくは行かないようだ。
今井も、曽我も、宇野も、小池も、青木も、普段は僕を恐れているのに、
そうなれば悲しんでしまうに違いない。
しかし新しい室長も着任し、見るべき脳は絶え間なく届く。
否応なく続く日常に、すぐに悲しみは癒されて 今まで通りの生活に戻ってくれるだろう。

ただ、岡部なら少しだけ喜んでくれるだろうか。
僕にとって死は恐れるものでは無く、やさしく抱きとめてくれる存在であることを、
岡部は感じているだろう。
僕が鈴木の幽霊を見たときに、近づくな と言ったのは、鈴木の幽霊に死への誘いを感じたから。
鈴木に託されたものを果たすためには、その甘美な誘惑に負ける訳にはいかなかったから。
僕の存在は、貝沼のように、貝沼に殺された少年のように、鈴木のように、人の人生を狂わせる。
死は、人の人生を狂わせることを怯える僕にとって、怯えから開放されるたった一つの手段。
事故だと発表されても、岡部はすべて気がつくはずだ。
だから、悲しむだけではなく、喜んでもくれるはずだ。僕が怯えから開放された事を。
そして、岡部ならそのことを絶対に他言しないことを、僕は知っている。

母はどうだろうか。父が死んだとき以上に落ち込むだろう。
しかし、か弱いように見える母は、とても芯が強い。支えてくれる友人も多い。
時間は多少掛かるかもしれないが、母は絶対に立ち直ってくれる。心配はいらない。

僕が死んでも大丈夫、世界は回っていく。

今までは無事に目覚めることができた。
今回も確実に、目覚めることができるだろうか。
それだけが怖..い....

(完)



暗いだけじゃなく、痛い薪さん 結局いつも同じ考えを繰り返してます。
バッハだったら、おんなじ主題でもあれこれ組み合わせて、素敵な音楽作るのに。
能無しが作ると、どれも同じで退屈になっちゃうなあ。
(でもせっかく書いたから、UPしちゃいます。スマソ)

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コメント

【 共感できます!! 】
すぎやまださん、 こんにちは。
お久しぶりな気がいたします。
SS,拝読致しました!!
暗くなかったですよ?
と言うか、そう、そう、と思いながら読みました。
でも、わたしは、薪さんにはあまり自殺願望は無いような気がします。
これはわたくしの希望でしょうか…
今回、とっても興味深いな、と思ったのは、もし私がこちらと同じネタで文章を書いたら、岡部さんじゃなくて青木さんなんだろうな、と……
でも、なんとなく岡部さんの方がしっくりきますね。
失礼いたしました、
【 Re 】
みちゅうさん、いらっしゃ~い
確かになんだか、お久しぶりですね。
> 暗くなかったですよ?
> と言うか、そう、そう、と思いながら読みました。
みちゅうさんにそういっていただけると、ほっとします。
> でも、わたしは、薪さんにはあまり自殺願望は無いような気がします。
確かに、原作薪さんには自殺願望は無いと思いますよ。
メロティ4号であれだけ他人の生命を救うことにこだわる人ならば、自分の命も大切にするはず。
あくまで私の妄想薪さんです。
> 今回、とっても興味深いな、と思ったのは、もし私がこちらと同じネタで文章を書いたら、岡部さんじゃなくて青木さんなんだろうな、と……
御意。やはり、思い入れのある方を活躍させたいと思いますよね。書きやすいですし。
「Kiss of Judas」すごいものを読ませていただきました。
コメント入れようと思いながらも、なかなか自分の中でまとまらず。
そのうち、お邪魔させてもらいますね。

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