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2次創作 「...を借りて」

タイトルがだんだん適当になってきました。(もともと適当ですが)
こんな話で「萌える」人、私以外にいるんでしょうかねえ。
しょうもなくてすみません。


昨夜帰宅ラッシュの時間に発生した、同時刻に複数個所での爆破事件。
追って犯行声明が出され、声明には次の犯行をも示唆されていた。
広域重大事件に本庁、複数の所轄署、公安、そして次の犯行に備えて緊急救護体制を依頼した
自衛隊など、連合して解決にあたる必要がある。
そのための調整会議が本庁で緊急に開かれ、薪も岡部を連れて出席した。
会議は夜通し行われ、明け方やっと終了した。

すでに第九にもいくつか脳が持ち込まれて、今井の指揮の元で捜査は始っていた。
岡部と薪は、車を拾って第九に戻る道中。
あと数百メートルで到着というところで、いきなり薪が「歩く」と言い出し車を止めた。
今までになく関係者が多い会議は、紛糾し混乱していた。
そのために熱くなった頭を、歩きながら冷まして戻るつもりのようだ。
2人は車を降りた。

すでに日は明けきっているが、世間はまだ目覚めておらず 人通りも全くない。
地表で姦しくしゃべり合うスズメや、頭上から落ちてくるカラスの間の抜けた声が、妙に響く。

いつもは薪が先行してタッタカ歩き、岡部はそのあとを追いかける格好になる。
が、今日はコートのポケットに両手を突っ込み、下向き加減に考え事をしながら歩いている。
そんなとき、薪は人が後ろにつくのを嫌う。
しかたなく岡部が先行し、たまに振り返りながらある程度の距離を保ちつつ、第九へ向かう。

ぽとり

岡部の顔に何か小さな軽いものが、降ってきた。
ん? 空を見上げるが、目に映るのは空をさえぎるほどの桜のみ。
気がつけば、道は8分咲きの桜並木に差し掛かっている。

ぽとり、ぽとり、ぽとり

岡部の周りにぱらぱらと降ってきたのは、花びらではなく がくの根元からもぎ取られた
花1輪丸ごと。
桜って、こんな風に散るんだったっけ?
不審に思って桜を見上げると、スズメより一回り小さな鳥が桜の花をむしっている。
へえ、鳥って桜の花を食べるのか。

立ち止まった岡部の背中に、薪がぶつかってきた。
「何立ち止まってるんだ。あぶないじゃないか。」
自分の前方不注意を棚に上げて薪が言う小言を、岡部は聞き流して顎で上を指す。
「鳥が桜を食べてますよ。」
薪もつられて、桜を見上げる。
まだ横から差し込む光で樹上は輝いてまぶしくて、思わず目を細める。
「あれはメジロだ。花を食べているんじゃなくて、蜜を吸っているんだ。」

メジロは機敏に細い嘴を振りつつ、花をむしっては下にこぼす。
その無心な動作と鶯色の姿が桜と静かに調和して、2人はそのまま見入ってしまう。
「ああ、いつのまにか春だな。」 薪の肩から力が抜け、溜息まじりの呟きがもれる。

そろそろ行かなければと岡部が思い始めた頃、背中の肩甲骨の間あたりにこつん と
当たるものがある。
何だろう? 確かめるために振り向こうとした、その時

「動くな、岡部」

背後から薪の声がした。
声の位置から、どうやら薪が額を背中に当てているらしい。
何しているんですか? と問いかけようとしたところで、
額はゆっくり、軽く、何度か岡部の背中にあたる。
こつん...こつん...

岡部は問いかけるのを止めて、またメジロを見上げた。
背中からじんわり滲んで、薪の気配が伝わる。
本庁で繰り広げられた勢力争いや面子の応酬を目前にした、苛立ち。
過ぎゆく時間を惜しむ、焦り。
何も手を打てないまま 次の被害者が生まれるかもしれない、恐怖。
幾重にも重なる交渉と妥協、そして溜息とともに溜まっていく、疲労。
そういったものを第九に戻る前に、岡部の背中を借りて少しづつ振り落としていく。
第九がなすべきことを完璧に果たせるよう、集中するために。

動きが止んで、薪が深く息を吐き、吸う。
額は岡部の背中を離れた。

「戻るぞ」
薪はいきなり宣言すると、まっすぐ前を向いて いつものようにタッタカ歩き始める。
岡部は何となく嬉しくなって、しかし何が嬉しいのか良く分からないまま、薪の後を慌てて追いかけた。

(完)




やっと意地悪以外で、薪さんの方から岡部さんを頼ることができました。
ちょっとだけ、だけどね。

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コメント

【 じ~~ん 】
すぎやまださま
 こんばんは
 見ました! 今日、見ましたよっ! メジロ(じゃないかもしれないけど)が、桜の花の蜜を吸っているのを!
 でも~、じょうずだったようで、花ごと、ぼとって落ちてくるのは確認できませんでした。落ちているのはいくつかありました。あれがそうなのでしょうか。
 ついでに、メジロとは思えぬでかいやつも、密を吸っていたようです。
 結構、桜の密は人気があるのですね
 ところで、薪さんたら、何、可愛らしいことしてるんでうすか・・・! 自分だけ岡部の背中で花の蜜をすったりして! 疲労の花房をぼとぼと落としたりして! 
 しかも、何が「戻るぞ」ですかい! 
 ・・・徹夜明けでよれた、働く中年男の色気を感じさせていただきました。
【 Re 】
第九の部下Yさま、毎度です。
>  見ました! 今日、見ましたよっ! メジロ(じゃないかもしれないけど)が、桜の花の蜜を吸っているのを!
>  でも~、じょうずだったようで、花ごと、ぼとって落ちてくるのは確認できませんでした。落ちているのはいくつかありました。あれがそうなのでしょうか。
実は、スズメがこれやっているのを見て思いついたんですよ。
メジロも蜜吸いなのですが、メジロが吸っている実物は見たことないんです。
メジロの嘴は細くて力仕事には不適なので、ちぎらないで上から吸う?舐める?のかもしれません。
>  ついでに、メジロとは思えぬでかいやつも、密を吸っていたようです。
ハトを一回り小さく、スマートにした灰色のやつだったら、ヒヨドリかなあ。
>  ・・・徹夜明けでよれた、働く中年男の色気を感じさせていただきました。
そう、それそれ。いつも端的に表現していただいて、ありがとうございます。
【 良いですね~ 】
この2人の関係。
岡部さんの背中で薪さんが癒やされている~(^^)
やっぱり、すぎやまださんの愛があるから、こういうお話が書けるんでしょうねー。
花ごと落とすってのは初めて知りました。
すごいですね、やっぱり日本は情緒があって良いです!
【 Re 】
めぐみさん、いらっしゃ~い
>岡部さんの背中で薪さんが癒やされている~(^^)
めぐみさんにもそう思っていただけると、うれしいです~
> 花ごと落とすってのは初めて知りました。
> すごいですね、やっぱり日本は情緒があって良いです!
スズメですが、結構な勢いで次々ちぎってました。
蜜の量は少ないのでしょうが、なんせ花は大量にありますからね。
USのスズメは、何食べてるんでしょうかねぇ。

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