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2次創作 「宇野 4」

更新ないのに、それでもカウンターupする。訪れて下さる方、ほんとーにすみません。

幸せな薪さん書きたかったのに、こんな訳分からん話になってしまいました。
独りよがりが鼻についたら、どうぞ閉じてくださいね。





ある日の正午。

宇野は座って木にもたれ、文庫本を読んでいる。
ぼくはその近くでシャツのまま寝転んで、過ぎ去ろうとする夏を惜しんでいる。

宇野は何も話さない。ぼくも何も話さない。
見つめられることもなく、見つめることもない。
心の内を探られることもなく、探ることもない。
共感を求められることもなく、求めることもない。
ただ同じ時間と空間を共有する。
それは不思議と、孤独な時以上に自由を感じる。

宇野がクスッと笑う。
ぼくは腕を目の前にかざして、その上を歩く蟻を眺める。おいおい、そちらへ行っても獲物はないぞ。

宇野がほっと溜息をつく。
ぼくはうつ伏せになって、ようやく地面に降りた蟻の行き先を目で追う。おまえ、自分の巣が何処なのかわかってるのか?


うつ伏せのまま両手首を重ねて頬を乗せ、目を閉じる。耳を澄ます。
蟻が草の間を歩く足音が聞こえるようだ。さわさわと葉擦れの声が風に乗る。
成長さかんな盛夏を過ぎたとはいえ、実りの準備に力を蓄える植物の意気込みが伝わってくる。

赤とんぼが、ついっついっと頭上を横切る気配。
秋を含む微風が絹のように、肌をかすめる。

それでもちらちらと肌を射す光は、まだ夏がしつこく居直っている。
木漏れ日としてぼくを温める核融合の産物は、そのエネルギーでぼくを微睡みへと誘う。


その光はぼくだけなく、大気や海を温め循環させて生きとし生けるものの世界を作る、すべての源。
この大地で、命が生まれ育っていく。

今も南洋のザトウクジラは、今年生まれた子を連れて北極へ向かい泳いでいる。
青い青い色の中、長い胸びれを櫂にして馴染んだ冷たい海をひたすら目指す。
初めての旅に不安な思いの子クジラも、翌年になれば迷うことなく南洋を目指して子を成すだろう。

繁殖を終えたキョクアジサシは反対に、白夜を求めて南極に向かっている。
長い長い空の旅、半睡半醒で飛びつづけるアジサシはどんな夢を見るのだろうか。

さっきの蟻が戻った巣の奥底では、女王蟻が無限に卵を産んでいる。
交尾時にたった一度だけ飛んだ光の中。
もう2度と光を見ることすらないが、自分の使命を成す喜びで溢れているに違いない。

植物は光を直接取り込んで、芽吹き葉を茂らせて実を生らす。
時が来れば静かに枯れてバクテリアが分解し、次の世代の礎となる。

生き物の気配が、この世界に満ち満ちている。
まるで大地が一つの生き物であるように。


「薪さん、そんな所で寝ると風邪ひきますよ。」
宇野の諭す声が聞こえるが、返事をするのさえ怠い気がして寝たふりをする。

宇野が上着を脱いで、ぼくに掛けた。ふわっと温かい空気に包まれる。
宇野の体温を纏った空気が、上着と共にぼくに馴染んで温める。
かすかな宇野の香りの中で、まるで直接抱きしめられているよう。
思わずうふふと漏らしそうになる笑みを、寝返りを打つ振りをして上着の中に隠してみた。


この世界とぼくと宇野、大地が微睡んだ夢でありすべては一瞬で消えるのかもしれない。
すべては胡蝶の夢なのか。

それならば、せめてこの瞬間を十分に楽しもう。
今大地が目覚めるならば、すべてが消えてしまうその前に。

(完)





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コメント

【 ‥えっと、災害と呼んで下さい‥ 】
こんにちは、すぎやまださん。
忘れたころにやってくる、災害の様な奴で
申し訳ありません‥あっ、読み逃げならいつも‥
‥面目ございません。

えっと、私の大好きな匂いがしたものですから‥

薪さんと宇野さん…いい香りです…(笑)

クジラでしょ、アジサシ‥ありさん。
クジラが子連れで泳いでる様が浮かびました。
素晴らしい表現力‥
独りよがりなんてとんでもない。
独りよがりとは私の為にある言葉です(^_^;)

すぎやまださんのメカマニア的な‥ごめんなさい
失礼でしたら謝りますm(__)m
メカ哲学と申しましょうか…そういうものも
好きですが‥分かりますでしょうか?この言い方

なんというか懐深く抱きこまれるような表現‥
好きです‥
私のようなものに言われても‥微妙ですよね…
すみません‥。

宇野さんに上着を掛けてもらいたい‥
目、閉じますからお願いします‥
と妄想爆発中のruruharuでした‥。

もっと素晴らしいコメ‥できたらいいのに‥
すぎやまださん‥ごめんなさい。



【 Re: ‥えっと、災害と呼んで下さい‥ 】
おお、いらっしゃいませ~ ruruharuさん

私こそ、いつも読み逃げですません。

> えっと、私の大好きな匂いがしたものですから‥
> 薪さんと宇野さん…いい香りです…(笑)

そちらまで臭いましたか。 (腐ってた?)
腐ってんだか腐ってないんだか、分からん生ぬるい話ですみません。

> すぎやまださんのメカマニア的な‥ごめんなさい
> 失礼でしたら謝りますm(__)m
> メカ哲学と申しましょうか…そういうものも
> 好きですが‥分かりますでしょうか?この言い方

うーん、分かるような分からないような...へへ
でも、好いてくれるならとてもうれしい!

> 私のようなものに言われても‥微妙ですよね…
> すみません‥。

いやいや、そういっていただけると勇気100倍です。
変な話でもUPする勇気が出るってもんです。

> 宇野さんに上着を掛けてもらいたい‥
> 目、閉じますからお願いします

私も掛けてもらいたい...岡部さんから...

コメありがとうございます。
またお越しくださいね。

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