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2次創作 「宇野 5」

ああ、暗~いお話しか書けない。 すみません、すみません。 何書いてるんでしょうね。
(「百鬼夜行」暗すぎで、一回休み)




薪は、どっかりと室長室の椅子に腰を下ろした。

1週間泊まり込みが続き難航していた事件も、先ほど犯人への手掛かりを掴んだところ。
これを捜査一課に告げれば、たぶん早急に犯人確保が出来るであろう。

「ふう...」
薪は溜息をひとつ吐くと、頭を椅子の背に預け目を閉じた。
こうやって目を閉じると、後頭部からずぶずぶと地の底へ潜るような錯覚を覚えるのは、疲れているせいなのだろう。

捜査中はいい。明確な目標に向かい、持てる全てをそこへ注ぎ込むことが出来る。

だがこうやってひと段落してしまうと、目標を失った思考力は自分の内側へと向かう。
そして心の内の黒いものがざわざわと蠢き始める。明るい場所へと這い出してこようと、触手がうねうねと伸び始める。
それは封印した過去。いま一つ一つ取り出し眺めてみても、出てくるのは後悔や、購うことが出来ない罪ばかり。
思考のベクトルはすべて過去を向き、何も生み出すことはない。
こんな無駄は許さない。未来に向けたベクトルにこそ、エネルギーを費やすべきなのに。

目を閉じていると、蠢く闇の中にくるくる回りながら、沈んでいく。その中で無駄にもがき、ばしゃばしゃと飛沫を上げる。
闇から出るべきなのに、出口が見つからない。いや、そもそも出ようとすらしてなくて、それは自虐が罰と勘違いをしているのだろう反吐がでる。
注意を外に向け闇を忘れようと試みるが、疲れているせいかうまくいかない。

「ああ、くそ!」
自分で自分を持て余し、叱咤する。しかし、その声すら空虚に響くだけで、なんの効果もない。
この胸の重さを払うには、捜査に没頭するしかないな。再検証の具合を、確認するか。


薪がモニター室へ向かおうと決めたその時。
ノックの音と共に室長室のドアが開き、宇野の上半身が現れた。

「例の通り魔の事件、犯人が乗っていたと思われる車の情報を、捜査一課に伝えました。
 盗難届は出ていないようですので、ほぼ犯人のものと思われます。」
「犯人の身体的特徴も伝えたか?」
「左足を少し引きづり気味に歩くことも話してあります。」
「そうか。」

用件を済ませドアを閉めようとする宇野に、薪が声を掛ける。

「あ、宇野。少し時間はあるか?」
「はい。再検証は岡部さんと青木がやっていますし、報告書は今井さんと小池がとりかかっていますから。」
「それならば、入れ。あ、ドアは閉めて来いよ。」

何事かと近づく宇野を、薪は椅子を立ち机の正面で迎える。

「上着を脱げ。」

「上着...ですか?」

「早くしろ。」

「...」

宇野は脱いだ上着を左手にぶら下げたまま両手を広げ、”で、どうするんですか”と態度で問いかけた。

「胸、借りるぞ。」

薪はそう答えると、宇野の肩に頬を預け、両手を背中に回して抱きしめる。

宇野の手から、上着が床にぱさりと落ちた。
両手は一時行方を捜して宙をさまよったが、薪の腰に回され落ち着く。

薪はほうっ と大きく息を吐く。すうっ と宇野の匂いを胸いっぱいに吸い込む。
そのまま頬を、むやみに肩口に擦りつけた。まるで猫が差し出された拳骨にするように。

薄いシャツを通しダイレクトに伝わる体温を、回した腕に力を入れて確かめる。
休むことがない力強い鼓動を、皮膚を耳にして確かめる。
しなやかな筋肉と皮膚の弾力を、擦りつけた頬で確かめる。
その体が発する生命力を、6番目の感覚で確かめる。
その体が秘める思いを、腕の重さで確かめる。

宇野の力を借りて、あいまいな自分を再構築する。
生きる自分を肯定する。


「何か話せ。」唐突に薪が言う。

「何かって... 何が好いんですか。」

「何でもいい。おまえの声が聞きたい。このまま体から伝わる、おまえの声が聞きたい。」

じゃあ、と宇野は肩にある薪の頭に頬をよせ、ゆっくりと囁く。

「室長は、薪さんは、そのままでいいんです。
 足す必要も、引く必要もありません。
 迷っても、わがままでも、そのままでいいんです。
 私は、今の薪さんが好きですから。」


薪は、体を預け目を閉じ耳を傾けながら、待つ。
再構築が完了し、前に一歩を踏み出せる時が来るのを。




今回のお話に全然関係ない個人的な独り言です。
(って、ブログ全部個人的ではないか!)

独り言

ひょんなことで、久しぶりに「ひょえ~」とリアルに大声を上げてしまいました。

結構好きなSF作家「式貴士」と、SMの大家「蘭光生」が同一人物だった!
確かに「式貴士」はエログロ色が強いので、言われてみればちょっと納得。

プラス、自分が小学生の時の愛読書「知らないとそん500」を出した「間羊太郎」も、上記2名と同一人物だった!
もう、運命を感じてしまいました。

(あ、「知らないとそん500」は、エロやグロやSMを知らないと損するよって 子供向けに解説した本...じゃないです。
 まっとうな小学生向けの本です。)

ひさしぶりに「式貴士」を読んで、この世界に薪さんいいなあ とすごーくそそられたのですが...。
切なくも美しいエログロは、私にはちょっと無理です。

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コメント

【  】
こんばんは、すぎやまださん。

一か月以上も前にお邪魔したきりで‥読み逃げの女王の面目躍如でございます‥すみません。
でも今回はどうにも我慢ができず‥来ました。

薪さんのトランキライザー的な宇野さん‥こういう使用方法が‥目から鱗(笑)
それにしても薪さんは、家の中で一番居心地のよい場所を知っている猫のようです‥。

宇野さんのシリーズ全部読ませていただいてますが‥
添い寝の時はまだブログやって無い時だったなぁ‥と思いだしました。

なんか落ち着くすぎやまださんの「宇野」シリーズ‥
今とても落ち着かない私はすごく癒されました。(文も落ち着いてないですね‥ごめんなさい)
ありがとうございました。

また、宇野さん‥お待ちしています。
お邪魔いたしました。

【 Re: タイトルなし 】
いらっしゃいませ~ ruruharu さん

> 一か月以上も前にお邪魔したきりで‥読み逃げの女王の面目躍如でございます‥すみません。

いやいやなんの。すみませんなんて言わないでください。
私こそ黙って毎日お邪魔しているのに。

> それにしても薪さんは、家の中で一番居心地のよい場所を知っている猫のようです‥。

そうそう宇野さん、夏涼しくて冬暖かく...って、そういうことじゃないんですよね。

> 宇野さんのシリーズ全部読ませていただいてますが‥
> 添い寝の時はまだブログやって無い時だったなぁ‥と思いだしました。

おお! そうでしたか。
読み応えあるruruharuさんのSSの数々、そんなに最近始められた事すっかり忘れてました。

> なんか落ち着くすぎやまださんの「宇野」シリーズ‥
> 今とても落ち着かない私はすごく癒されました。(文も落ち着いてないですね‥ごめんなさい)

お、落ち着きますか...。ありがとうございます。

ruruharuさんが落ち着かないのは もしかして、「アメイジング グレイス」 が原因?

生意気なこと言ってごめんなさいですけど、ちょこっと分かる気がします。
思いが ぶああ~~ っと溢れ過ぎて言葉にならない、という感じでしょうか。
思いだけが溢れ、文章として出てこないの、辛いですよね。

う、違ってたらごめんなさい。

こんな所で何ですが、「アメイジング グレイス 12」、コメント書いては消して、書いては消して、結局送信押せませんでした。 なに書いても、言い尽くせなくて違うような気がして。
ごめんなさいね。どんな言葉でも、コメ残したほうがruruharuさんの励みになるって、分かっているのに。

どうぞ、ご自分のペースで続けてくださいね。

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