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2次創作 「百鬼夜行 3」

えーと....私はどんな、お話にしたかったのでしょうか....

ごめんなさい、ごめんなさい。
今さらながら、続けてしまいまいました。さっぱりまったく全然訳分からお話です。 
ああ、やっと終った~

おまけに、独りよがりが空回り。こんなのUPするなんて、恥を知れ恥を、てな感じです。
ひょえ~




自分の方へ引き上げるように顔を向けさせた薪の瞳を、姫は改めて覗き込み、ほうっと感嘆の詞を吐く。
「このように美しい姿をしておるのに、なんと凄まじい情念が渦巻き逆巻いておるのであろう。
 このような者、初めてじゃ。」

薪の頭を両の手で抱き引き寄せると、頬ずりをする。
「そのような数多の思いを内に秘めて生きるのは、人として生きるには辛かろうな。」

愛おしくて愛おしくて、頬ずりを繰り返す。
「人として生きるには、惨かろうな。」

人の形を確かめるように慈しむように、指先は薪の頬を辿る。
「なぜ押し殺すのじゃ? その荒れ狂う情念を。それは鋭い刃となり、抑え蓋するおまえの心をずぶずぶと貫いておるぞ。
 おまえの心は血が噴き出し、真っ赤に染まっておる。
 なぜ叫ばぬ。なぜ情念そのままに悲嘆し、憤怒し、憎悪し、怨まぬのじゃ。」

深紅の唇が薪の耳に、甘い吐息と共に吹き込む。
「なぜ押し殺すのじゃ? 抗う事を止め、湧き上がる情動に身を任せれば、楽になるとは思わぬか。
 そうして、おまえも鬼になるがいい。
 人を見限り、情動に従い、わらわのような鬼となるがいい。」

睫毛が絡み合うほどの至近距離を正面から、陶酔で朱に染まった瞳が薪の視線を絡め取る。

「おまえが蓋をし目を背けていたもの、ありありと思い出すがよい。
 そしてそのまま身を任せるのじゃ。」

そして姫の深紅の唇が、薪の唇にヒルのように吸いつき、蠢めいた。
人形のように、されるがままの薪。

しかしなにも現さなかった薪の顔の、眉が徐々に不快げに寄る。苦悶の表情を浮かべ始める。
子供がいやいやをするように頭を振ろうとするが、引き寄せる姫の手と唇がそれを許さない。
苦しくても逃れられない。脇にだらりと下げた薪の腕の、握りしめた手がふるふると戦慄き、力が籠りぶるぶると震える。
姫は恍惚と、薪の唇を吸いつづける。



薄暗く雑然とした四畳半で、懸命に排泄物を塗りたくる父親の背。恋人と笑い合うあの人の背中は、自分の罪も知らず無邪気に揺れてこの世の全てを享受している。
どうして、なぜ私だけが私だけが、こんなに辛い現実に生きなければならないの。
生きるための夢を見ることすら奪ったくせに、それでもなお生きろという、こんな世界はいらない。消えろ消えてしまえ、こんな世界私と共に。

自分の腹から突き出る、包丁の柄。そこから目を転じると、目を見開いて立ちすくんでいる、涙に濡れた葵。殴られた跡。
俺は葵を守るため生きてきた。もう2度と泣くな葵、笑ってくれ。お願いだ。一片の曇りもない幸せの中、ずっと笑っていてほしい。
なのにおまえを守る者がいない世界に、一人置いて行かなければならないなんて。まだ死ねない死ぬわけにはいかなのに。

ささやかな夢すら叶えられなかったのに、遺影は明るく笑っている。読経に混じるのは、子に先立たれた親の悲痛な慟哭。
第九にさえ来なければ、どんな未来も有ったのに。天地には何の落ち度もなく、あるとしたらただ一点、第九に配属希望を出したこと。
もう2度と殉職者は出さないと決意したのに..。無力で無能な自分に絶望する。守れなかった事をどう謝罪したくとも、天地にはもう何も届かない。

血の海の中横たわる鈴木。その目は見開いたまま、もう何も映していない。銃声が頭の中でいつまでも反響し、煩く何も考えられない。
鈴木、起きろ。起きてくれ、鈴木。そしてこんなこと全て嘘だと言ってくれ。
絶対に離さない離せない手は、鈴木のシャツから引きはがされて、差しのばしたまま鈴木からどんどん遠ざかる。離してしまえば、もう2度と掴めないのに。

貝沼の唇が、言葉を紡ぐ。あ・ん・た・へ・の・ぷ・れ・ぜ・ん・と。 に・た・こ・ば・か・り・え・ら・ん・だ・ん・だ・よ。
お前さえいなければ、こんなに血が流れることもなかったのに。少年たちの、第九のあいつらの将来を奪い、その家族の時間をも止め奪い去った。
お前が憎い。ぼくとお前を引き合わせてしまった、因縁が憎い。そして、そうさせた自分が、憎い憎い憎い。



薪の両の拳から、はたりと力が抜けた。うつろな目から涙が一つ、また一つ溢れ出る。
薪の唇を吸いつづける姫に、戸惑いが現れた。直後、はっと熱い物に触れたかように、いきなり姫の唇が薪から離れる。

「なぜ鬼にならぬ! こやつ...まだ己の未来を諦めぬのか!」



ZIPが見上げる、学の笑顔。何処へ行こうと何をしようと、学の顔をひたすら追うZIPの視線。ただただ学の傍が嬉しい、嬉しい。

なぜ死んだのか、殺されなければならなかったのか、死ぬ前に何を考え何を見ていたのか。これからは何でも分かる。
やりがいのある仕事だ。すごくやりがいのある仕事だよ。

ぼくを気遣う、岡部の眼差し。「追うな!」とただ言い捨て、去る。決して強いることはない岡部の、案じる気配だけがぼくに添う。
自ら放棄した安寧を、それでもなおぼくに代わって願ってしまう おまえが居るなら、静寂な心も取り戻せるかもしれない。

どんな事があろうとも、前を向いて歩いて行こう。頭を上げ、頬に風を受けて進もう。
いつでもぼくの頭上には、果てがない空がある。無限に広がり、どこまでも深く高い透明な空。碧く輝くその先に、きっと誰も知らぬ何かがある。



「己の未来を信じる人なぞ、鬼の成りそこないなぞ、ええい、目ざわりな!」
姫はそう叫ぶと、汚らわしいものを遠ざけるかのように、薪の胸をどんっと突く。薪がふらふらと、後ずさる。

姫はもう薪には一瞥もくれず、唐衣をばさりと羽織りなおすと、すっと背筋を伸ばした。
「もうよい。爺、出立じゃ!」 

御簾がするすると降り、姫の姿を隠す。
ぎいいいいいっっ、ごとんと音を立て、牛車が動き始める。牛車を先頭に、異形の者どもが列をなし後に従う。
列は赤く染まった月を目指し進み、みるみる遠く小さくなり、消えた。

月は元の明るい満月に戻る。すだくような虫の声が、何事もなかったかのように立ち上る。



「薪さん!」
ぼうぜんと事の次第を傍観し、異形の列を見送った岡部は、視野の端にかくんと膝を折る薪の姿を認め、あわてて駈けよる。
地面に倒れ伏す直前に、辛うじて間にあった。そのまま腰を下ろさせ、薪の背を片手で抱えると、頬を軽くたたいて名を呼んだ。

薪の目が薄く開く。それを見て、岡部は少し安堵した。
「薪さん。大丈夫ですか。」

まだぼんやりとしている薪は、それでも岡部を認めた。
「岡部か。ぼくはいったい...」
「妖怪に連れ去られる所だったんですよ、薪さん。覚えていないんですか。」
「現場を確認した所までは、覚えているが...」
「薪さん、立てますか?」

岡部に促されて身を起こそうとした薪だが、身じろぎをしただけに終わる。
「いや、身体に力が入らない。
 何かまるで、はるか遠くまで旅をし、戻ってきた心持がする。酷く疲れて...」
途中で、薪は意識を失った。

「薪さん! くそっ、一体なんだったんだ! あいつらは。
 とにかく車に戻らなければ。」

岡部は膝の下に腕を差し入れると、薪の身体をそのまま抱え上げ、来た道を急いで戻り始めた。

(完)




ごめんなさい、ごめんなさい。

折角だから(なにが折角?)、岡部さんには薪さんをお姫様だっこして貰いました。
うふふふふ

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