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2次創作 「星見せ屋 1」

えーと...訳分からん話が続きますねぇ。
すんません、すんません。

1話完結のはずだったのに..。無駄に長くなってしまいました。
(続)にして、続けることができるのか?




ある都会の、冬の夜。

街路樹に幾万もの星くずを張り付けたようなイルミネーションを纏わせた、遊歩道。
友人と/家族と/同僚と/恋人と、連れ立ちそぞろ歩き感動を感嘆のため息と共に伝え合う大勢の人々が、華やかに賑やかに道に溢れている。

その賑やかな道も、ライティングが切れるあたりから人影は薄れ始め、1ブロックも離れると人通りもほとんど無い。
遠目のイルミネーションの賑わいが、かえって静けさを際立たせる。

冬の薄暗く曇った空は夕方からすっきりと晴れ、地表の熱は容赦なく電磁波として宇宙へ宇宙へと逃げていった。
こんな日は、特に冷え込みが厳しい。夜の大気の汚れも凍え地に落ち、キンと冷えた空気は常よりも磨かれて透き通る。

その静かな歩道の際に、小型のバンが一台駐車していた。
そのすぐ横には、反射式の150mm天体望遠鏡が設置され、仰角70度の宙を向いている。
望遠鏡の三脚に立てかけられた一枚の看板。『星を見せます。星見せ屋』

バンの開け放たれた後部座席に、人がいる。
片足を地面につけ、腰を軽く座席に下ろし、亜麻色の髪を背中に届かせて、夜空を仰いでいる。



いかつい身体に無精ひげの男が、その前を通りかかった。くたびれたコートに、緩んだネクタイ。
イルミネーションの賑やかさは無縁だと目もくれず、何事か思案しつつ、それでも足はぐんぐんと道を急ぐ。

亜麻色の髪の彼が、そんな男に声を掛けた。
「そんなに急がずとも、星を見ていきませんか?」

男は無言で通り過ぎようとしたが、髪と同じ色をした彼の瞳と目が合うと、思い直したように足を止めた。
「星?」

「そう、星です。あなたはどんな星を見るのか、この望遠鏡を覗いてみませんか。」

戸惑い迷い、それでも男は望遠鏡に歩み寄る。小首を傾げ見守る彼の柔かな瞳に促され、接眼部を覗き込んだ。
「ん? 黄土色の星が..。輪っかも見える。」

「土星が見えましたか..。
 あなたは、懐が深い愛をお持ちだ。誰か、大切に思う人がいるのですね。」

「愛って..いやあ、恋人なんかいませんよ。」
男はがははと笑ったが、ふと思いついたように言い添えた。
「ああ、安寧を願っている人は、いますけどね。」

「安寧、ですか。」

「そうです。安らぐ事を知らない『彼』に、安寧が訪れる事を。」
と、望遠鏡が示す先を目で追った。

「そう、『彼』はいつも深淵の縁に立ち、漆黒の闇を覗き込んでいて。
 闇に目を奪われてはいけないと、自身が一番分かっている。なのにその闇に落ち姿を失う願望で、目を反らすこともできない。
 わざとギリギリに留まり誘惑に耐え、自分の存在を確かめるのか。もしくはたった半歩で闇を得ることができる事に、癒されるのか。
 そんな『彼』は常に不安定で危うくて、俺はいつ落ちるかと気が気じゃない。」
分からない、というように頭を振る。

「しかし、『彼』をそこから引き離す術を、俺は持たない。
 縁から離れたと安堵しても、いつの間にか戻り覗き込んでいる、それを押し止める術を、俺は持たない。」
そんな自分を悲しむかのように、目を伏せる。望遠鏡の視野の中で、土星が気流でゆらめく。

ただ俺に出来る事は、と男は伏せた目を上げた。
「観念にのみ込まれようとする『彼』の、身体を気遣う事。肉体が持つ生命力こそ、観念に拮抗し『彼』をこちらに引き戻す。
 心を推し量ることも、掛ける言葉も見つけられない俺に出来るのは、こんなことぐらいしかない。
 そして、第九の捜査で成果を上げ『彼』の負担を減らす事。」

「とは言ってみたものの、なかなかそう思惑通りには行かなくて..。
 あれ? 何でこんな事を話してしまったんだろう。」
ちょっと照れた様に、頭をがしがしとかいた。そうか、彼の瞳が似てるから、つい...


柔かに男の言葉を聞いていた彼は、少し躊躇いながら尋ねる。
「あなたがこれだけ気にかけ尽くしても、見返りはありません。
 それでも、いいのですか?」

男はしっかりと視線を彼の瞳に当てた。まるで『彼』と話をするかのように。
「いいんです。俺が気になって放っておけない、それだけだから。
 そして時には万能と見まがうほどの能力を持つ『彼』とMRI、唯一無二の環境で『彼』の信頼を得、緊迫感ある捜査が出来る。
 もうそれで、十分だ。」

そして、と話は続く。
「配置転換もある。いつか『彼』とは道を分かつ時が来る。
 その時に、しっかりと地に立ち、ぐんぐんと前に進む『彼』の姿があるならば、俺はこれ以上嬉しい事は無い。
 本当に、健やかな『彼』が思うがまま突き進んでくれれるならば。」



まるで目前にその『彼』が居るがごとく幸せそうであった男は、はっと時計を見た。
「あ、もうこんな時間! 薪さんに大目玉くらうぞ!」

「長々と話をしてしまい、申し訳ない。しかし楽しかったよ、ありがとう。」
と片手を上げて立ち去る男の頬には、まだ笑みが残っていた。


男を見送ると、彼はぽつりと呟いた。
「あなたの思い、きっと叶いますよ。」

(続?)



旅先の道端で、望遠鏡をのぞかせてくれる人がいました。
そこで初めて、木星とガリレオ衛星(エウロパ、ガニメデ、カリスト)を肉眼で見ました。

あそこには、優しい巨人がいたり、モノリスががんばっていたり、テラフォーミングされた海でさんまが泳いでいるんだろうなあ。

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