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2次創作 「二秒一秒物語」

「何だこれは」 といわれても困りますが...
稲垣足穂さんの 「千秒一秒物語」 急に読みたくなったので。
とはいっても、本は実家に置いたままなので、うん十年前に読んだイメージだけで書いてます。
薪さんには流れ星より、惑星の方がお似合いだと思います。
(なに がお似合うんだ?)



ある日薪さんが夕食後、港町に散歩に出かけました。
食後の電気ブランがちょっと効いてます。
暮れた直後の港町は、湿った海からの風が漂って。
街頭のガス灯は、ぴかぴか花火を散らしている。

坂道を上っていくと、向こうから妙なとんがり帽子のてっぺんが見えてきた。
帽子の下には小さな頭がくっついてきて、小人が坂をこちらに向かって歩いている。
帽子ははっきり見えるのに、顔や格好はぼんやりと赤みがかった確率の雲で不確定。

その小人が、すれ違いざま帽子を脱いでお辞儀した。 
「こんにちわ、よいお湿りで」

ん?誰だったっけ? と戸惑いながらも、会釈を返し
すれ違って2,3歩歩いて気がついた。
おい、君は火星だろう。お湿りは嫌いじゃないのかい?

その小人はぴょん、と飛び上がったかとおもうと、
「ちょっと綺麗だからって、いばるんじゃないよ」
と、ふところからピストルを取り出すと、僕に向かって ズドン と撃った。

目がくるくるまわって気がつくと、そこは散歩を始めた元の四つ角。
ガス灯がぴかぴか火花をちらしたまま。
足元を見下ろすと、自分の影が無くなっている。 あ、やられた。

あくる朝、自分が妙に頼りない。
起き上がってみると、実際手が透けていて、ベットの向こう側 壁のカレンダーまで見えてしまう。
困ったなあ、これじゃ書類ももてないし、MRIのキーボードも打てないぞ。

困り果てた末、屋根に上って火星を待つ。
夕暮に、一番に光ったところを竹ざおで叩き落とした。
「いててて。何するんだい」
僕の影を返してくれ。君だろう、盗ったのは。

「だって、やっぱりお湿りは苦手だから。
 君の影はビロードの手触りが気持ちよくて、ちょっと羽織らせてもらっただけだよ。
 ほら、返せばいいんだろ?
 空に上がるときにひきずったらか、ちょっとよごれてるけれど」
あわてて影を広げてみると、確かにところどころ穴が開いている。

こんちくしょう、と思って火星をふりかえったら、
ちゃっかり空に戻っていた。
だけど火星の額には、僕が叩き落したときのたんこぶがくっついたまま。


それは、岡部さんがちっとも知らない場所で起こった事。

(完)


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コメント

【 ああ、こんな感じだった 】
こんばんは。

千秒一秒物語 なつかしー。
うーむ。たしかに、うん十年前でしょうか。 でも、もう私も持ってません。売り飛ばしてしまいました。

 私のイメージは、あまんきみこの松井さんシリーズのちょっと大人なSF版といった感じでしたね。 完璧SFの世界ではなく、もっと日常に近くて、実は起こっていることなんだけど、誰も気づかないだけ、というような。

>それは、岡部さんがちっとも知らない場所で起こった事。
 
 薪さんの私生活担当岡部さんは、薪さんの身の回りに起こるすべてのことを把握しているですかっっっ!?

>だけど火星の額には、僕が叩き落したときのたんこぶがくっついたまま。

 えーと、天文学的に、困る!

作者はホのつく人種だそうですが、ご存じでしたか?

おじゃましました~
【 Re: ああ、こんな感じだった 】
第九の部下Yさん、いらっしゃ~い。

> 千秒一秒物語なつかしー。

「千秒一秒物語」あたりは、思春期には一度ははまる人が多いのではないか、と思います。
太宰治や筒井康隆のように、ちょっと反社会的なあたりが。
(って、すごーく古いぞ)

>  私のイメージは、あまんきみこの松井さんシリーズのちょっと大人なSF版といった感じでしたね。 完璧SFの世界ではなく、もっと日常に近くて、実は起こっていることなんだけど、誰も気づかないだけ、というような。

そうそう、そんな感じですね。
 
>  薪さんの私生活担当岡部さんは、薪さんの身の回りに起こるすべてのことを把握しているですかっっっ!?

そりゃ岡部さんは、薪さんが今日はいているパンツの色まで知ってますよ。

>  えーと、天文学的に、困る!

たけざおで届くあたりから、困りますねえ。

> 作者はホのつく人種だそうですが、ご存じでしたか?

あの時代に、あれだけ大っぴらに宣言した人ですからね。
物語系が繊細な物を書かれるのに、私生活はかなり過酷だったようです。
しかも、ご本人は自分の物語で繰り返し表現する可憐さとは、程遠かったようで。
だからこそ、「千秒一秒物語」は生まれたのかもしれません。

またおこしくださいね~

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