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2次創作 「2人の薪 3」

続き、お待たせいたしました。(誰も待っていない? ま、いいか)
しょぼいです。へへ





薪が岡部に銃口を向けたのと同じ頃、もう一人の薪は、自宅で家事にいそしんでいた。

やりたくてもやる時間がなかった事を、エプロンと手荒れ防止の手袋姿で次々とこなしていく。
換気扇が油っぽくなっているし、玄関のたたきも少しくすんで来た。
洗濯機の洗濯槽の漂白もしばらくやっていないし。
あ、それよりもまず、風呂や台所の排水管クリーナを使わなきゃ。

潔癖症の薪としては、普段気になっていたことを解決できて、気分は上々。
開け放った窓からのそよ風も、床でピカピカと反射しているおひさまも、すべてが自分を祝福しているよう。きれいになった室内を満足げに見回すと、窓から太陽に向かって感謝する。「ありがとう」

夕食がそろったテーブルで第九の薪の帰りを待ちあぐね、いつの間にか突っ伏して寝ていた薪は、電話に起こされる。第九の薪からだった。
「今日は帰れそうにもないけど、もう飽きたし眠い。
 第九に来て変わってくれ。」
「え? 今からですか。」
「当たり前だ。僕はいままでず~~~っと仕事してたんだぞ。疲れたんだ。
 今度はお前の番だ。」

車を拾って第九の近くで落ち合あった。
今日の出来事をざっくり引き継ぎ、恐る恐る第九に向かう。
仕事を終えた方の薪は「あ~、眠い、眠い。おい、犯人見つけておけよ。」とか言いながら、そのまま帰ってしまった。

恐る恐る第九のモニター室を抜けて、室長室に向かう。
モニター室のすべての席は埋まっていて、全員が徹夜で捜査を続行していた。
ほとんどの人が寝静まっているこの時間、モニター室は煌々と明かりが灯り、熱意と活気で満ちている。その雰囲気からは、一刻も犯人につながる情報を探し出し、これ以上の犠牲者は許さない という意思が伝わってきた。
仕事の範疇を超えた静かな意欲に、薪は胸がいっぱいになった。ああ、皆なんて献身的なんだ。
薪は少し涙ぐみ、思わず一番近い小池に声をかける。
「小池さん。お疲れ様です。小池さんのがんばっている姿に、ぼく感動しています。がんばってくださいね。」
へ? いつもの憎まれ口も忘れ、口がぱっくり開いたまま小池は立ちすくんだ。
し、室長..今、なんて言いました? いや、2度と聞きたくないから、繰り返さなくていいですけど。

「あ、室長。」
通りがかりの薪に、曽我が遠慮がちに声をかける。
いつもの薪と、全然違う今の薪が怖い。が、捜査に当たってそんなことも言ってはいられない。そんな思いが遠慮がちの声に現れる。
「ここなんですが。」
曽我のモニターを、薪がのぞきこむ。
「これ、視覚者が背後から刺された直後の画です。
 自分の真横に駐車された車を見ているようなんですが、なんで車なんか見ているんでしょう?
 そんなもの見ている暇ない状況だと、思うんですが。
 室長、どう思います?」

薪はしばらくモニターを眺めていたが、顔が悲しそうに歪むと、2筋の涙が薪のほおを跡をつけながら転げ落ちた。
曽我は無言の薪に問いかけるように振り返り、ギョッとしてそのままの姿勢で凍りつく。
し、室長..泣いてる。なんで?
「車の助手席側ガラスに、かすかに視覚者と犯人が映っています。
 曽我さん、ここ、もっとズームアップして補正をかけてください。」
と、薪はモニターの一点を指差した。
「視覚者は自分の身に何が起こったか、知りたかったんですね。
 ガラスに映った自分に気がついて、それで自分の背後で何が起こったか、見ています。
 刺された直後は痛いというより、殴られたような衝撃で、何が起こったのか分からないはずです。
 ほら、ガラスに映った自分に気が付いていないときは、驚きの表情をしている。
 その後、自分の背後にいる人物による仕業だとわかる。
 ここでは自分ではなく、犯人に注目しているから。
 驚きが恐怖に代っていく。自分が標的になった、恐怖。」
薪の涙は最初の跡をなぞりながら、次々と滑り落ちる。
「そして痛みを感じだすと、表情に怒りが混じり始めました。
 なぜこんな目にあうのか。自分が何をしたのか。なぜ自分が知らない人に暴力を与えられるのか。
 今、背中に当てた手を見てますね。ここで初めて刺されたことが分かります。出血が多いことも。
 ほら、手を見ていた視線が、またガラスに映った自分に戻ります。
 もしかすると死ぬかも知れないことを、悟ったのでしょう。
 なぜ死ななければならないのか。自分の顔を相手に、回答がない答えを問い続けています。
 永遠に回答されない、問いかけなのに。無念でしょう。悔しいでしょう。
 明日にやり残したことも、10年後に予定していたことも、すべて無になるのですから。」
薪が事実関係以外、捜査には関係ない視覚者の心情にまで触れた話におよぶのを、曽我は初めて聞いた。
へえ~、室長ってそんな事まで、画から共感できるのか。すげ~。
それに、何で車を見ていたか、一発で見つけたし。やっぱり室長って、すげ~な~。
でも、この泣いている室長は、どうしたらいいんだろう?

その少し後、今度は青木が岡部と薪を自分のモニター前に呼び、何やら3人で話している。

「で、この線でも捜査を進めるように、一課に上げるべきですよ。」
と青木は主張した。岡部には、青木が急ぎすぎているように見える。
「ちょっと待て青木。急ぎすぎだ。
 一課も総員で動いている。誤った情報に人数を割くと、捜査の遅れに直結するぞ。
 それにこんなあいまいな情報じゃ、一課を説得できない。
 もう少し前後の画も見直してから判断した方が、いいんじゃないか。」
岡部が薪に問う。
「室長、どうします?」

青木の言う通り、この情報が犯人に直結するかもしれない。
が、もし違っているならば、岡部が言うように犯人逮捕の遅れを助長する結果となる。
どちらが正しいか、という問い方は結果論でしかない。
今出来るのは、リスクや確率そして直感を秤にかけて、より良い方を選択すること。
そこまで進んで薪の思考は...止まった。今の薪には、どちらも選択できなかった。
どちらか決めようとはするが、その判断が誤っていた場合を想像すると、心がすくんでしまう。
薪はうろうろ彷徨う気持ちを持て余し、すがるような目で岡部を見上げた。
「ぼくには決められません。岡部さん、決めてください。」

げ。思いがけない回答に、岡部も青木もそろってのけ反る。し、室長..今、なんて言いました?
すべてを自分で掌握しないと気が済まない室長が、判断を俺に任せるなんて。絶対、絶対おかしいぞ。
思わず岡部は青木と目を見合わせて、いままで以上に室長がおかしい、とお互い確認し合う。
しかし、涙目でほとんど岡部に取りすがらんばかりの薪を見ると、確かにそう言ったのだと分かる。
しばし無言の時を経て、岡部ががしがしと頭をかきながら言った。
「えーと、じゃあ、青木。今井と一緒に、もう少し他の画も探してみろ。
 一課に上げるかどうかは、今井の判断を聞いてからにする。
 それでいいですか? 室長。」
「はい。」
ほっとしたように素直にうなずく薪に、2人共に思わず目をそらし、同じ事を考えていた。
室長、変だ。昼間も変だったけど、夜になったらもっと変になった。朝になったら、どんだけ変になってるんだ?

第九の室員には、昼と夜の薪は真逆に見えた。
視覚者の画に何も感じとれない薪と、傍で危なく思えるほど感情移入する薪。
即座に判断し指示する薪と、うろうろ迷い結局自分では何も決められない薪。
冷たく人の気持ちに構わない薪と、人の気持ちを慮っているばかりの薪。
どちらの薪も...受け入れ難く、なにより捜査に支障が出だしている。
よくわからないが、とにかく早くいつもの薪に戻ってほしい、と全員が切望した。




うーん、とっても痛い薪さんなんですけど、全然萌えません。
萌えないと、なかなか書き進めることが出来ず、むりむり進めた感じがありあり。
読みにくくて、申し訳ありません。



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コメント

【 おおう・・・ 】
こんばんは
おおう・・・天使ちゃんが降臨してますね・・・。

>し、室長..今、なんて言いました? いや、2度と聞きたくないから、繰り返さなくていいですけど。

だいじょうぶや、小池!!あんたは狂ってなんかいいひん!!!!

泣きながら説明されてる内容が、作りこまれててすごかったです!

>薪はうろうろ彷徨う気持ちを持て余し、すがるような目で岡部を見上げた。

ちょっ・・・なんですか、この可愛い生き物!?

>「ぼくには決められません。岡部さん、決めてください。」

そんなことゆうたって駄目ですよ!!!

>げ。思いがけない回答に、岡部も青木もそろってのけ反る。

マトリックス イン ダイク。

>しかし、涙目でほとんど岡部に取りすがらんばかりの薪を見ると、確かにそう言ったのだと分かる。

そ・・そんな可愛い顔したって駄目ですよ!!?

>室長、変だ。昼間も変だったけど、夜になったらもっと変になった。朝になったら、どんだけ変になってるんだ?

・・・さあ?

薪さん、パワハラ鬼上司とかゆってごめんなさい。(ゆってたんかい)
いつもの薪さんがベストやったんですね。
でもこの騒動は面白い!!!
【 Re: おおう・・・ 】
わんすけさん、いらっしゃ~い。
天使な薪さん、って全然自分で動いてくれなくて。すんませんねえ。変なもん読ませて。

> ちょっ・・・なんですか、この可愛い生き物!?
> そんなことゆうたって駄目ですよ!!!

涙目ですがりつかんばかりに見上げる、すなおな、かわいい薪さん。
岡部さん的にはゴックン、かもしれませんが.. 萌えない。
やっぱり薪さんは高飛車じゃないと。

> マトリックス イン ダイク。

ギャハハハハ、これ↑いいです~。
岡部さんと青木さんのスローモーション、見えるようだ~

> でもこの騒動は面白い!!!

おお、面白いと言ってくれましたか! ありがとうございます。
でも、続きが...ねえ。どうなるんでしょうねえ。

【 面白い! 】
これ、すごい面白いです!
悪人の薪さんが好き好き。でもわたしのそばには寄ってこないで。(笑)
「あ~、眠い眠い、おい犯人見つけとけよ」だって!このセリフに吹き出す自分をサイテーだと思いました。

善人の薪さんも可愛いです。でもわたし、イラついてどついちゃうかも。

つづき、いつか書かれるんですよね?ふたりは元に戻るんでしょう?
楽しみにしてます。
【 Re: 面白い! 】
いらっしゃいませ~ しづさん

> 悪人の薪さんが好き好き。でもわたしのそばには寄ってこないで。(笑)

悪人薪さん書きたくて、テレビドラマをぱくってしまいました。

> 善人の薪さんも可愛いです。でもわたし、イラついてどついちゃうかも。

そうなんですよね。善人薪さん、書いててもちっとも面白くない。全然筆が進みません。

> つづき、いつか書かれるんですよね?ふたりは元に戻るんでしょう?
> 楽しみにしてます。

う つづきかあ~ (と遠い目で見る)
うーん、そのうち に....

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